消費者インサイトってご存じですか?
顧客が自覚していない、隠された欲求のことです。
消費者ですら、まだ気づいていない、
そんな欲求ですね。
とくに、市場にない新しい商品を売り出す場合、
多くの消費者は「その価値」に気づいていないことがあります。
そのままでは売れませんが、
消費者インサイトに気づかせることで
商品やサービスが売れるようになるのです。
コピーライティングと「対比」
コピーライティングとは、
広告で使われる文章テクニックです。
広告で読み手に訴求する場合、
メリットになることを伝えることで
読み手を引き込んでいきます。
たとえばスキンケア製品であれば、
冒頭のキャッチコピーで
「あなたは美肌になれる」
といった趣旨を伝えるわけですね。
じつは、広告でメリットを謳った場合、
たいていのケースで「対比」も含まれています。
「あなたは美肌になれる」と伝えたとき、
じつは「かさかさした、ツヤのない肌」と
対比構造をなしているのです。
世の中に、そのようなことで悩んでいる人がいるからこそ、
「美肌になれる」と謳えば売れていくわけですね。
これが、コピーライティングにおける対比構造です。
消費者インサイトに気づかせる
でも、もし世の中に対比構造が
まだできていなかったとしたら…?
その場合は、まずは消費者に
「こういった問題がある」
「こういった事実がある」
ということを認識させなければなりません。
そうしないと商品やサービスが売れないからです。
・・・
たとえば、P&Gはかつて洗濯用洗剤『アリエール』を
以下のように訴求して売り出したそうです。
「除菌ができるアリエール」
しかし、さっぱり売れませんでした。
なぜなら当時は、衣服に「菌」がいるなどという認識が
世の中にはなかったからです。
つまり、製品のメリットと対比構造となるような
「社会認識」がまだなかったのです。
「どうして衣服を除菌する必要があるの?」
というわけです。
もちろん、衣服に付着している菌で悩んでいる人はいませんでした。
当然ですが、「除菌ができる洗剤」と謳っても
売れるはずがありません。
では、P&Gはどのようにしたのか。
部屋干しの衣類からニオイがするのは、
衣服にたくさん菌がいるから
という説明をくわえたのです。
そうすることによって、
視聴者は「衣服に付着している菌」を
イメージできるようになりました。
その瞬間、
「衣類に付着している菌をなんとかしたい」
「衣類に菌がたくんさんいると不潔」
このような願望や悩みが生じたのです。
結果として、「除菌ができるアリエール」と「悩みや願望」
との対比構造が作られ、商品が売れるようになったわけです。
対比構造があるかどうか
商品は「対比構造」ができていなければ売れません。
それは『アリエール』の事例をみても明白です。
対比を成すような「願望や悩み」が
世の中になければ、商品が売れるわけもないのです。
世の中は、まだ「その価値」がわかっていないからです。
その場合は、「消費者の知らない事実」を
広告でしっかり伝える必要があります。
それによって消費者自身が、
今まで知らなかった価値に気づけば
商品が売れるようになるのです。