コピーは具体的であるべきです。
そうすることで読み手は、
頭のなかで明瞭にイメージできるからですね。
その反対に、ぼんやりした抽象的なコピーでは、
読み手はイメージを描くことができません。
もちろん抽象的なコピーには、
「メッセージを短く伝えられる」というメリットもあります。
実際、キャッチコピーというものは抽象的です。
ですから、抽象から具体へという「具体化」が、
広告で読み手を引き込むポイントになるわけです。
人は「具体的なこと」を求める
「抽象」と「具体」は、対立した概念です。
「抽象」は、大まかなくくりであるため、
ぼんやりしたイメージになります。
それに対して「具体」は
より細かいため、イメージしやすくなります。
たとえば、「犬」と「チワワ」では
「チワワ」のほうが具体的です。
その反対に、「犬」は「チワワ」に比べれば
抽象的なわけですね。
人は本能的に、ボンヤリしたことを嫌う傾向にあります。
脳内で明瞭にイメージしたいという欲求を、
本能的に持っているのです。
ですから人は、映画やドラマ、小説といった
「ストーリー」に心惹かれるわけですね。
「抽象→具体」という流れ
広告は基本的に、
この人間の本能に沿って構成されています。
まず冒頭のキャッチコピーは、
短いため「抽象的」になります。
すると読み手は、
「もっと具体的なことを知りたい」ということで
ボディーコピーを読み進めていくわけですね。
もし広告の冒頭から、長文が始まったらどうでしょうか?
「何の話?」となってしまうかもしれません。
ですから、最初は「何の話か」「何のジャンルか」
「〇〇がどうなった」といった大枠を伝えるべきなのです。
そのようにして、おおまかな理解をしてもらってから
具体的な話へと進んでこそ、読み手は引き込まれていくわけです。
ただし広告では、そう簡単にはいかないことがあります。
多少の「具体」は必要
たとえば、広告冒頭のキャッチコピーが、
まったく理解できないものだとしたら?
あるいは、抽象的すぎるとしたら?
そうなると、読み手は
その先を読み進めようとは思わないものです。
なぜなら、脳内で全くイメージできないからです。
世の中には、そんなヘッドラインが多すぎるのです。
いくら「抽象→具体」の流れが人の本能だといっても、
最初の「抽象」が意味不明だと、
その先を読み進める「動機」が得られないのです。
ですから、最初のキャッチコピーで
「ある程度、具体的なこと」を伝える必要があるのです。
達人のキャッチコピー
以下は、現代広告の父といわれた
デイヴィッド・オグルヴィのヘッドラインです。
このキャッチコピーを見てもわかるように、
「時速60マイル(約96キロ)」
「新型ロールス・ロイス」
「電子時計の音」
このように「具体的な言葉」が使われています。
だからこそ、読み手はイメージができるのです。
つまり、最初のキャッチコピーは、
「抽象」でいいとはいっても、できるだけ「具体」を織り込んでこそ
読み手を引き込んでいけるわけですね。
でも、短いキャッチコピーでは
どうしても「具体化」に限界がある。
そこで、より詳しい内容を
ボディーコピーで伝えていくわけです。
読み手は、この「抽象→具体」という流れに
自然に引き込まれ、読み進めていくことになるのです。
具体化の注意点
ただし、いくら「具体的なこと」がいいといっても、
ケースバイケースです。
具体的にしたばかりに、
かえって反応が落ち、成約率が下がることもあるのです。
それは「読み手が興味のないこと」を
だらだらと細かく描写した場合です。
書き手は、「誰もが自分のことを知りたがっている」
と思いがちです。
そうなると、読み手が興味を持っていない経歴を、
ぐだぐだと具体的に書いたりしてしまうのです。
でも、それをしてしまうと、
読み手は退屈し、去っていくことに。
これは「会社」の場合も要注意です。
広告の冒頭で「開発秘話」を詳しく語り出すと、
ほぼ間違いなく読み手は去っていきます。
ですから、あくまでも「読み手が関心のあること」
「読み手のメリット」を具体的に伝えていく。
それが「具体化」のポイントである、ということです。