“現代広告の父”といわれたデイヴィッド・オグルヴィは、
かつて、こんなヘッドラインを作りました。
時速60マイルとは、時速約96キロです。
高速道路を走っている状況をイメージしてみてください。
なんと、車内で最も大きな音は、
「チッチッ…」と時を刻む、聞こえるか聞こえないかの音だというのです。
このヘッドラインは
「訴求性」「論理性」「わかりやすさ」の3拍子がそろっています。
あえてメリットを書かない
このヘッドラインの特徴は、
メリットが書かれていないという点。
つまり、このヘッドラインは、
メリットの「理由」「根拠」となっているのです。
客観的事実だけが書かれているわけですね。
では、読み手に何も訴求していないのかといえば、
そうではありません。
じつは、上記のヘッドラインのあと、
「だから、この車の静粛性は抜群だ」と暗に伝えているのです。
そうなると「快適訴求」をしていることになります。
「快適に暮らせる」というのは、
強力な訴求点なのです。
・・・
そのほかにも、じつは
「だから、この車は、あなたのような富裕なかたにふさわしい高級車だ」
ということも暗に伝えているのです。
多くの人は、
「お金持ち→高級車に乗っている→その車は静粛性が高い」
というイメージを持っているからですね。
そうなると、この広告は
「承認訴求」もしていることになるわけです。
人は「周りから認められたい」という承認欲求を持っているわけです。
他の車との対比構造
論理性の観点で見てみると、
具体性も入っていますし、対比構造も入っています。
「時速60マイル」
「新型ロールス・ロイスの車内」
「電子時計の音」
・・・これらは全て具体的なわけです。
そして、対比構造にもなっています。
「ほかの車の車内は、エンジン音がうるさい」
という事実と対比構造を作っているのです。
現代の車は、静粛性の高い車が多くなりましたが、
当時は一般的に、エンジン音がうるさかったのです。
じつは、そういった「その他多数の車」と比較しているわけですね。
・・・
このように、このデイヴィッド・オグルヴィのヘッドラインは、
・メリット
・対比構造
が隠れていて見えませんが、
じつは明確にアピールしているのです。