私は日々、LPやチラシ、新聞広告をチェックしています。
「何かを学ぶ」ということが目的ではなく、
「どれだけ問題があるか」を見つけるためです。
そのようにして、コピーの勘を養っているのです。
広告の分析は、数年つづけていますが、
おそらくは数千におよんでいます。
しかし、その9割以上は、
問題だらけというのが現実です。
ところがある日、新聞をみていると、
とてもすばらしい広告を目にしました。
それが、この広告です。
クリックして、大きな字で、一度よんでみてください。
メリットと根拠のセットによる、訴求性のすさまじさ。
それは、「2段階の根拠」によって、さらに強化されています。
デザインが訴求性を生んでいるケース
まず、この広告では、
「60歳過ぎてもシワやシミの悩みなし。」
とメリットを謳っています。同時にターゲットも絞っています。
このコピーの秀逸なところは、
「シワやシミ」という箇所を、まるで輝いているようにデザインしている点です。
このデザインによって、
「今あるシワやシミが、完全になくなるわけではありません」
「それでも、今の状態よりは、確実によくなりますよ」
ということを伝え、読み手にもイメージさせているのです。
もし、このキラキラしたデザインがなく、
「60歳過ぎてもシワやシミの悩みなし。」
とだけ書かれていたとしたら、どうでしょうか。
「60歳のかたのシワやシミが完全になくなります」
のようなメッセージになってしまい、
60歳の人が読んだら「うそでしょ!」となってしまいます。
しかし、このコピーでは、
「シワやシミ」を輝かせることによって
信ぴょう性をもたせているのです。
この発想の秀逸さがわかりますか?
ふつうは、「シワやシミ」は嫌悪すべきものですので、
「シワやシミ」という言葉を輝かせようという発想は出てきません。
しかし、それを行うことによって、
「あなたの肌が、もっと輝きますよ」と伝えているのです。
3段階の根拠
つぎに、このコピーの根拠に目を向けてみれば、
かなり強いものとなっています。
なぜなら、すぐに「シワ改善 美白原液」と伝えているからです。
たしかに「原液」であれば、
たった数滴でも美肌になれそうですよね。
しかしこの広告では、その根拠だけで満足するのではなく、
「2段階目の根拠」の説明をボディーコピーで行なっているのです。
さらに、この広告の驚異的なところは、
「3段階目の根拠」の説明まで行なっている点です。
2段階目の説明では伝えきれなかった根拠を、
つまり、さらに具体的な根拠を、
左側の「シワ」「シミ」「肌あれ」というところで伝えているのです。
ちなみに、左側のところでは
へたに「シワ改善」「シミ予防」「肌荒れ予防」とせずに
「シワ」「シミ」「肌荒れ」とだけ記載しているのもいいですね。
これは、ヘッドラインの「シワ」「シミ」を
そのまま引き継いでいます。
(誇大広告にしない、という考え方ですね)
そして、写真で具体化まで行なっています。
(どこのシワなのか、どこのシミなのか)
左側の部分は、よく読めば
論理的におかしな部分もありますが、
訴求性に影響はないので、私は問題ないと考えます。
誇大広告にしない
この広告の訴求性のすごさが、実感できましたでしょうか?
必要以上に過度にメリットを謳わない。
根拠で証明できるぶんだけのメリットを謳う、ということです。
ところが世の中のLPや様々な広告は、
メリットは謳っていても、根拠が希薄なことがほとんです。
全く根拠が示されていないこともあります。
そうなると、謳っているメリットが「誇大広告」になってしまい、
全く信ぴょう性がない、ということになってしまうのです。
実際のところ「訴求性」という要素は、
「論理の支え」があって成り立っています。
メリットを謳うだけではなく、
根拠、具体化という論理を駆使することで、
コピーに訴求性が出てくるわけですね。
ただ、唯一の欠点が…
この美容原液の広告は、
超一流のコピーライターが制作したものに違いありません。
ただ、一言いわせてもらえば、
「11種類の天然植物由来成分」
の具体化がなされていません。
もちろん、スペースの問題もあるでしょう。
LPの場合は、新聞広告とは違って
いくらでも書くスペースがありますから、
こういった成分名をすべて列挙することが正解となります。
しかし、そういった「唯一の問題点」もかすんでしまうほど、
この広告は、ものすごい訴求性を備えているのです。