私は、これまで何千というLPや新聞広告、チラシを
日々、分析し続けてきました。
その9割以上が「ダメな広告」ばかりでした。
すばらしいLPに至っては、ほとんど見たことがありません。
・・・
さて、別の記事でご紹介した
「天美卵のバウムクーヘンの広告」を目にしてから、
すでに1年がたっていました。
そのあいだも、私は毎日、
粛々とあらゆる広告の分析を続けていたのです。
そんなある日、新聞を開いていろいろ眺めていると、
またもや「すばらしい広告」が目に飛び込んできました。
それが、この広告です。
あのバウムクーヘンを販売している、
同じ会社による広告です。
五感に訴求
これも、もしあなたが「甘いもの好き」なかたであれば、
この冒頭のキャッチコピーと写真をみただけで
食べたくなりませんか?
この写真だと劣化しているので、
わからないかもしれませんが、
実際の写真は、もっと「つるりとした食感」が
伝わるものになっています。
ですから、この広告も
写真が「根拠」の役割を果たしているのです。
また、以前にご紹介したバウムクーヘンの広告と同様に、
視覚、触覚、味覚に訴求しています。
「ぷるん」というのは
スプーンで “すくった” ときの視覚的表現です。
「つるり」というのは、口の中の触覚ですね。
すべてに根拠を示す
そしてボディーコピーでは、
そのおいしさの「根拠」を論理的に伝えています。
そこでは、
「なぜ天美卵がおいしいのか」
その理由を説明しているのです。
読み手は「平飼い」という意味がわからなくても、
「愛情たっぷりに育てられているから、美味しい卵なんだな」
とイメージできるわけですね。
しかも、「7:4」の比率にすることで
卵黄を極限まで増やしたとも言っています。
それが、そのまま「濃厚」であることの
根拠になっているのです。
さらに、パティシエが手作業で作っていることを伝え、
よりいっそう「おいしさ」を伝えています。
また、「つるり」とした食感の根拠までも
述べているのです。
9割以上の広告は「根拠」が弱い
それに対して、世の中の広告は、
メリットだけを言って、それっきり…。
きちんとメリットに根拠を添えている広告は、
いったいどれだけ存在するのでしょうか?
もちろん、根拠らしきものは添えられているでしょう。
しかし、たいていは「客観的な事実」ではないため、
根拠の役割を果たしていません。
根拠が不十分だと「訴求性の低さ」という “腫瘍” となって
広告に巣食ってしまうのです。