私は毎日かならず、新聞広告をチェックします。
多い日で、1日に5個か6個は掲載されていますから、
これまで何百個、何千個と細かくチェックしていると思います。
しかし残念なことに、
世の中の9割以上の広告は、ダメな広告です。
そういったなか、いつものように新聞をたぐっていると、
11面ぐらいにでしょうか、かなり「元気な広告」が目に飛び込んできました。
最初、目にしたときは、
「なんか大袈裟だなぁ」ぐらいにしか思わなかったのですが、
ひととおり読んでみると、じつにすばらしい広告であることがわかったのです。
それが、この広告です。
クリックすると大きな字で読めますので、一度読んでみてください。
この広告の何がすごいと思いますか?
一言でいえば「対比構造」の見本のような広告なのです。
見事な対比構造
この広告の場合、
冒頭のヘッドライン(キャッチコピー)だけでは、
まったく訴求性がありません。
試しに、おばあちゃんを手で隠して、
もし写真がなかったらどんな感じか、実感してみてください。
ぜんぜん意味がわかりませんし、
響かないと思います。
ところが「90歳のおばあちゃん」が、
にこりと笑って、元気にピースまでしています。
ふつう、「90歳にもなるおばあちゃん」は、
こんなに元気にピースなんてしませんよね?(笑)
じつは、この写真とヘッドコピーとのタッグによって、
「世の中の90歳のおばあちゃんたち」
と対比構造を作っているのです。
「対比」という要素は、
コピーライティングに必要な武器です。
広告で謳いたい「メリット(主張)」と対を成すことを言うことによって、
メリットがよりいっそう際立つからです。
この「おばあちゃんの広告」でも、
「世の中の90歳のおばあちゃんたち」
「ピースをしている元気な90歳のおばあちゃん」
という対比構造をつくり、
その要因は「商品の野草酵素にある」と伝えているのです。
このヘッドコピーと写真を見ただけで、
世の中の90歳のおばあちゃんたちは、
「自分も、このように元気になりたい」
と思って、思わす商品が欲しくなるのではないでしょうか?
それほど、この広告は、
冒頭のキャッチコピーと写真だけで
広告の8割方の目的を達成してしまっているのです。
それは、おばあちゃんの元気な写真が
「根拠」の役割を果たしているからです。
ボディーコピーも対比構造
対比構造の話でいえば、ボディーコピーも
「つらかった状態」→「この商品に出合って元気になった」
という流れで作られているのが、おわかりでしょうか?
もっと細かくいえば、
「ヘッドラインと写真(プラスイメージ)」
の次に、「つらかった話」につなぎ、そのあと「元気になった話」
になっています。
こういった緩急のリズムも、コピーライティングの技なのです。
・・・
補足になりますが、
キャッチコピーの「大正解」だけでは「抽象」です。
何のことかわかりません。
そこで、すぐに右下のほうで
「この歳でも不調知らず」
と伝えています。
こういったところが「具体化」です。
・・・
2つ目の補足として、
この広告では、おばあちゃんが元気になった理由を
「酵素」と伝えています。
同時に
「なぜ酵素を摂ると元気になるのか?」
という疑問にも答えているのです。
その答えとは「体の中を掃除してくれるから」。
つまり「毒素を排出してくれるから」というように、
2段階の根拠という論理を展開しているのです。
徹底した具体化
さらにいえば、
この「おばあちゃんの広告」では、左側のほうで
なんと66種類の原材料が、すべて具体的に明記されています。
こういった点が、信頼性につながるのです。
世の中の広告は、
抽象的にぼかすことが多くないでしょうか?
たとえば、「30種類の美容成分」とだけ伝えて、
それっきりというケース。
そのような伝え方では、
「何が入っているのか」わかりませんから
読み手は不安になってしまいます。
読み手は、抽象的なことを示されると、
「さらに具体的なことを知りたい」と思うものです。
それが「自然な心理」です。
その読み手の気持ちに寄り添うならば、
抽象を、きちんと具体化してあげるべきなのです。