日々、WEBの販売ページや
新聞広告、チラシをチェックすることは私の日課です。
その日も、新聞広告をくまなくチェックし、
頭の中で添削していました。
すると10面ぐらいでしょうか、
「セコム」の広告が目に入ってきました。
それは、こんな広告でした。
おそらく優秀なコピーライターさんが制作したんでしょうね。
多くの高齢者、もしくはご家族のかたが
申し込まれているに違いありません。
ただ、私の目から見ると、
まだまだ「穴だらけ」に見えたのです。
抽象的なコピーではイメージできない
一言でいうと、
「抽象的なコピー」が多いのです。
たとえば、
ヘッドラインに「急な体調不良」とありますが、
具体的な症状を書くと読み手はイメージがしやすくなります。
たとえば「急な腹痛」などですね。
「急な腰痛」でもよいと思います。
それと、「マイドクターのボタンを握ることによって」
という説明は入れるべきです。
私なら、こんなヘッドラインにしますね。
それと、お客様が発した言葉というイメージを強めるため、
カギカッコにするべきです。(それだけで、注目度が格段にアップします)
ボディーコピーを見ていくと…
次にボディーコピーを見ていきましょう。
「救急ボタンのマイドクターを身に着けておけば」
とあります。
ここは
「救急ボタンのマイドクターを常に首から下げておけば」
と具体化できる余地があります。
繰り返しになりますが、
読み手は「抽象」には反応しません。
脳内でイメージができないからです。
それを「具体化」したときに、
はじめて読み手は明瞭にイメージができるため、
読み手の「欲しい」という感情を刺激できるのです。
・・・
ほかにも具体化できる余地が残されている箇所が
いくつかあります。
「全国約2,600の緊急発信拠点」
ここは、たとえ当たり前のことであっても
「全国47都道府県」と明記すべきです。
「全国47都道府県にある約2,600の緊急発信拠点」
とするとよいかと思います。
そのように明記しないと、
「私の県にはあるのかな?」と不安になる人も出てきます。
「私はどのぐらい待てば、助けが来るの?」
「セコムがお住まいへ急行します」
どのぐらいの時間がかかるのか書かれていません。
動けない状態になった時、
その人は、どのぐらい待てばよいのでしょうか。
どのぐらい我慢すればよいのでしょうか。
それがわからなければ読み手は、
臨場感をもって、その状態をイメージすることができません。
その結果、購入率が落ちてしまうかもしれません。
ですから具体例を持ち出します。
「東京都内であれば、早ければ10分以内、
遅くとも20分以内に到着します」
「※〇〇の地域の場合、30分程度かかることもあります」
という注釈があってもよいかもしれません。
(上記は、あくまでも私が思いつきで書いた例ですので、
実際はどうなのかはわかりません)
「体調が気になる70代・80代の皆さん」
何も「90代の人」を省く理由がありません。
人生100年時代です。ここは90代も含めるべきでしょう。
「どうやって家に入るの?」
さらに、この広告では、
絶対に伝えるべき2点が書かれていません。
まず、
「セコムが到着した時、鍵がかかっていたら、
その人はどうやって家に入るの?」
という疑問に対処していない、という点です。
セコムの人にしてみれば、
合鍵か何かを持っているとか、
あるいはシステム的に入れるようになっているのかもしれません。
しかし、上に挙げたような疑問を
持つ人は少なからずいるはずです。
ですので、それに言及しなければ
読み手は臨場感をもってイメージできないのです。
もしかしたら、このサービスはそもそも、
「セコムの防犯サービス」が前提のサービスなのかもしれません。
しかし、「防犯はいいから、見守りのサービスだけに入りたい」
という人は、上に挙げたような疑問をもつはずです。
「不審者の侵入を防げる」という訴求
あともうひとつ、大事なことを
この広告では忘れています。
それは、昨今の「不審者の侵入」という点です。
最近の一連のニュース報道をみた高齢者のかたは、
かなりの不安を感じているのではないでしょうか。
もし、不審者が侵入したことがわかった時、
マイドクターボタンを握るだけで
セコムが駆けつけてくれるのであれば、
こんなに心強いことはありません。
ですから、そういったことに
どこかで言及することは絶対に必要ではないでしょうか。
これを伝えることで、
この広告はもっと「訴求性」がアップし、
さらなる売上アップが期待できることでしょう。
『マイドクター』を具体的に掘り下げる
最後に補足すると、
スペースが許すのであれば
『マイドクター』について掘り下げるべきです。
「ボタン」と説明していますが、
見るかぎりではボタンらしき部分はありません。
もし内蔵されているのであれば、
そのように伝えるべきです。
そして素材や大きさ(cm)、重さ(g)についても。
それによって、にぎった時のイメージがしやすくなります。
また、「どのぐらいの強さで握ればいいのか?」
という疑問に答えると読み手に親切です。
広告では「ぐっと握るだけで」とだけしか伝えていません。
それなりの力がいるのか?
ほんの軽く握るだけでいいのか?
これに答えないと、握力が弱い人は不安になります。
なお、もっと重要なことは、
「電波に危険はないの?」という不安に対する説明です。
『マイドクター』を握ったとき、電波が飛ぶと思いますが、
「ペースメーカーをつけている人は大丈夫なの?」
という不安を持つ人もいるかと思います。
こういった「不安への対処」「疑問への対処」をしないことも、
「訴求性の腫瘍」となって成約率に響くことになります。
一流のコピーライターが制作。しかし…
セコムの広告は
おそらく一流のコピーライターが作ったものだと思われます。
私は、これまで数千のLP、新聞広告、チラシを見てきましたが、
その中では「ダントツ」で訴求性が高いからです。
それでも、深く添削してみると、
これだけの問題が出てくるのです。
ましてや、世の中の9割以上の広告の中には、
どれだけ多くの「深刻な問題点」がひそんでいることでしょうか。