世の中には、一流のコピーライターが存在します。

私はこれまで、
欧米の超一流のコピーライターたちの広告やDMを
数多く分析してきました。

そして、彼らの多くに共通する
「2つの特徴」に気づきました。

それは「切れ味」と「人間味」です。

もちろん、人によってその比重は異なりますが、
超一流のコピーライターは、両方の要素を持っているのです。

切れ味

一流のコピーライターが書いた広告は、
読んでいて「スカッ」とするような感覚をおぼえることがあります。

その要因は、以下の3つです。

  • 短い言葉
  • 事実
  • レイアウト

まず「短い言葉」。

一流のコピーライターは、
ボディーコピーを「短い言葉」で始めることが多いですね。

全米で指折りのコピーライターといわれる
ジョセフ・シュガーマン氏のコピーを見ていると、そう感じます。

「生きるためには酸素が必要です。」
「私はとてもラッキーな人間です。」
「これからお話しすることは実話です。」
「これは防犯システム用コンピュータです。」
「家族全員で楽しめることがいくつありますか?」

彼の広告は、こういった短い言葉で始まることが多いです。

そのようにすることで、
読み手の目は引きつけられ、一瞬で内容を理解することができます。

もしこの第一声が、
ぐだぐたとした長文だったらどうでしょうか?

長文とはいかなくても、2~3行だとしたら?

上記のような言葉ほどの「切れ味」は生まれなかったはずです。

・・・

事実も「切れ味」を生みます。

抽象的なことばかりが書かれている文章よりも、
決定的な事実が書かれていたほうが、明らかに「切れ味」があります。

明瞭だからです。具体的にイメージできるからです。

この点に関しても、シュガーマン氏の広告は秀逸ですね。

彼の広告は、事実に即して
上手にメリットへとつなげていきます。

しかも、事実の量が非常に多いのです。
そして「商品の特徴の話」を、最初に必ず持ってきます。

事実を早く伝えるからこそ、
彼の広告は見事な「切れ味」なのです。

さらにいえば、「レイアウト」も切れ味を加速させます。

こまめに「小見出し」で区切ることによって、
冗長さがなくなり、広告に「切れ味」が生まれます。

特定の文章を「枠で囲う」だけで、
周囲の文章から浮き立って見えます。

補足すれば、「対比構造」を作ることも、
ある意味「切れ味」を生むといえるかもしれませんね。

人間味

一流のコピーライターが書いた広告には、
「人間味」も備わっていることが多いと感じています。

人間味は「好意」と言い換えてもいいかもしれません。

やはり好意を持たれたほうが、
広告の成約率は上がるものです。

「好意」とは、たとえば以下のような要素で生まれます。

  • あなたと同じと言う
  • 悩んでいる姿を見せる
  • 相手を認める(ほめる)
  • 偉ぶらない
  • 相手を立てる

「私は、あなたと同じ」と伝えることによって、
相手は親近感をおぼえます。

また、「自分が悩んでいる姿を見せる」ことで、
相手は「人間味」を感じるので、好意をもってくれます。

「私は、このことを伝えるのかどうか、真剣に悩みました。」
といった文章ですね。

「相手を認める(ほめる)」ことで、
相手の承認欲求が刺激されるので、相手は悪い気はしません。

「あなたのような理解のあるかたに、
この商品を手に取っていただきたいと思っています。」
といった表現ですね。

「偉ぶらない」というのは、上から教えるという目線ではなく、
たとえば

「私も、このことを最近、知りました。」
などの表現です。

「相手を立てる」というのは、
「ここで、ひとつ質問させていただいても、よろしいでしょうか?」
といった、相手に承諾を得るような表現です。

「相手にこびる」というと語弊がありますが、
頭を低くして、相手を立ててあげるのです。

これらは、すべて相手に「好意をもってもらう」ための方法です。

それらは「人間味を感じてもらう」ということでもあります。

そして、この「好意」「人間味」というのは、
一流のコピーライターの書く広告の多くに共通した特徴なのです。

シュガーマン氏の広告こそ理想

ジョセフ・シュガーマン氏の広告を見ていると、
「切れ味」と「人間味」の両方が見事に備わっていることに気づきます。

先ほどは、彼のボディーコピーの第一声は、
たいてい「短い言葉」で始まっているということを述べました。

でもじつは、彼の広告では
一番上に書くキャッチコピーも「短い言葉」であることが多いのです。

たとえば、

「シェーバーの飛躍的進歩」
「ポケットCB」
「レーザー光線デジタル腕時計」
「新しいテレビゲーム」
「ホット」

などですね。

防犯ベルを売る広告では、
彼のヘッドラインとリードは、以下のようになっています。

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ヘッドライン: 防犯ベルの飛躍的進歩

リード: コンピュータ内蔵新型防犯ベルは取り付けの必要がなく、
数千ドルの専門的システムのようにご家庭も職場も守ります。

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もしリードから始まっていたら、
文章が長すぎるので「切れ味」は生まれなかったでしょう。

しかし、ヘッドラインを短くすることで「切れ味」が生まれ、
そのあとのリードによって「人間味」を醸し出しているのです。

上のリードは、よくあるような「キャッチコピー」ではなく、
語り掛けるような、ふつうの文章ですよね?

「切れ味」と「人間味」が見事に融合したコピーといえるわけです。