コピーライティングのパイオニアである、
ジョン・ケープルズ。
“広告の父” といわれたデイヴィッド・オグルヴィよりも、
さらに前に活躍した人です。
その彼が、こんなヘッドラインを残しています。
有名なので、聞いたことがあるかもしれませんね。
これは、音楽学校の通信講座を勧める広告のヘッドラインです。
ストーリーで引き込む
このヘッドラインの特徴は、ストーリー性です。
ヘッドラインを見ただけで、
思わず引き込まれますよね。
続きを読みたくなってしまいます。
それは、読み手の「好奇心」を刺激しているからです。
人には、「好奇心を満たしたい」という欲求が備わっています。
それに抵抗することは、とても困難です。
「鶴の恩返し」という物語でも、
思わず、部屋を覗いてしまいましたよね。
人は、好奇心を刺激されると、
真相を知りたくなってしまうものなのです。
「好奇心」は人に備わっている欲求である以上、
それを刺激されることは「読み手のメリット」になります。
ですから、このヘッドラインには一見、
読み手が得られるメリットがなさそうですが、
そうではないわけです。
もちろん、このあとボディーコピーのなかで、
「この通信講座を受ければ、音楽が身につく」
という真のメリットに誘導しています。
このような「好奇心で引き込む」という手法は、
伝説のコピーライター、ジョセフ・シュガーマン氏も
よく使っていました。
好奇心で引き込み、そのあとメリットにつなげる、
という手法ですね。
ブルー・ブロッカーというサングラスの広告は、
まさにこの手法を使っていました。
見事な対比構造
このヘッドラインのもう一つの特徴は、対比構造です。
「最初はみんなが笑った」
「しかし、弾き始めると(みんなはその腕前に感嘆した)」
このように対比構造をなしているのです。
「対比」は、3つある論理のうちの1つです。
(論理性には、具体化・対比・根拠の3つがあります)
対比という手法を使うと、
広告に「メリハリ」が生まれます。
たとえば
広告で、いきなりメリットを述べるよりも、
まずは「読み手の悩み」から語り出す。
そのあとメリットを伝えれば、
メリットが引き立つわけですね。
このケープルズのヘッドラインでも、
最初「周りがバカにして笑っていた」と伝えているからこそ、
そのあとの「私がピアノを弾き始めると」という部分が
引き立つのです。
悪役がいるから、ヒーローが引き立つのです。
困難があるからこそ、
それを乗り越えたときの喜びが引き立つのです。
・・・
結局、このピアノコピーは、
「訴求性」「論理性」「わかりやすさ」の3拍子が
見事にそろっているといえますね。